2026.08.11
「歳だから仕方ない」で終わらせない|前立腺肥大の症状と治療

「トイレが近くなった」「おしっこの勢いが弱くなった気がする」——歳を重ねるにつれて、そんな変化を感じながらも、「歳だから仕方ない」と受け流している方は少なくありません。
けれど、その症状の背景には「前立腺肥大症」という病気が隠れていることがあります。そして同じような症状は、まれに前立腺がんのサインである場合もあります。
この記事では、前立腺肥大症とはどんな病気か、前立腺がんとの違い、検査や治療の流れを、できるだけやさしい言葉でご説明します。読み終えるころには、「様子を見よう」から「一度、検査を受けてみよう」に、気持ちが動いていただけるはずです。
【この症状があれば、一度ご相談ください】
- 夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)
- 尿の勢いが弱い、出はじめに時間がかかる
- 排尿後もすっきりしない(残尿感)
- 尿が途中で途切れる
1.前立腺肥大症とはどんな病気でしょうか
前立腺は、膀胱の下にある、栗の実ほどの大きさの男性特有の臓器です。尿道を取り囲むように存在し、精液の一部をつくる役割を担っています。
この前立腺が、男性ホルモンの影響を受けて少しずつ大きくなり、尿道を圧迫することで排尿トラブルを起こす病気が、前立腺肥大症です。
なぜ前立腺は大きくなるのか
加齢とともに、男性ホルモン(テストステロン)の作用によって前立腺の細胞が増え、前立腺そのものが肥大していきます。これは多くの男性に自然に起こる変化で、50代から増えはじめ、80代になると約8割の男性にみられるとされています。
前立腺が大きくなると尿道が狭くなり、次のような症状が現れます。
よくある症状
- 頻尿……昼間も夜間もトイレが近い
- 夜間頻尿……夜中に何度もトイレに起きる
- 尿の勢いの低下……おしっこの勢いが弱くなる
- 残尿感……出し切れていない感じが残る
- 尿の途切れ……排尿の途中でちょろちょろになる
- 排尿開始の遅れ……出はじめに時間がかかる
一つひとつは些細に思えるかもしれませんが、複数当てはまる方、あるいは日常生活に支障を感じている方は、一度検査を受けられることをおすすめします。泌尿器科が扱うそのほかの症状については、泌尿器科の診療内容ページもあわせてご覧ください。
2.前立腺肥大症と前立腺がんの違い
「前立腺肥大」と診断されると、「がんではないか」とご不安になる方もいらっしゃいます。この2つは名前は似ていますが、性質もリスクも大きく異なる病気です。
| 前立腺肥大症(良性) | 前立腺がん(悪性) | |
|---|---|---|
| 性質 | 良性の病気。がんではありません | 悪性の腫瘍。がんの一種です |
| 好発年齢 | 50代から増え始め、80代では約8割にみられます | 加齢とともに増加します |
| 初期症状 | 尿が出にくい、頻尿、残尿感など、排尿症状が中心です | 早期は自覚症状がほとんどないことも少なくありません |
| 見つかり方 | 排尿の症状をきっかけに受診することが多いです | 症状が出にくいため、PSA検査で見つかることが多いです |
| 治療 | 薬や手術で症状の改善を目指します | 病期に応じて経過観察・手術・放射線・薬物療法などを選択します |
| 命への影響 | 命に関わる病気ではありません | 早期発見・早期治療が重要です |
もっとも大きな違いは「症状の出方」です。前立腺肥大症は排尿の不具合という形で自覚しやすいのに対し、前立腺がんは進行するまで自覚症状がほとんどないことが多いという特徴があります。
そのため、「症状がないから大丈夫」とは言い切れないのが、前立腺がんの怖さでもあります。
前立腺がんが進行した場合にみられる症状
早期は無症状であることが多い前立腺がんですが、進行すると次のような症状がみられることがあります。
- 尿が出にくい、勢いが弱い
- 頻尿(特に夜間)
- 血尿・血精液
- 骨盤や背中の痛み(転移がある場合)
- 体重減少・食欲不振・倦怠感(進行した場合)
これらは前立腺肥大症の症状と重なる部分も多いため、症状だけで両者を見分けることはできません。ここで重要になるのが、次にご説明するPSA検査です。
3.PSA検査って何?|血液を採るだけの簡単な検査です
PSA(前立腺特異抗原)とは、前立腺から分泌されるたんぱく質の一種です。前立腺に異常があると血液中のPSA値が上昇するため、採血だけで前立腺がんの可能性を調べられる検査として広く用いられています。
こんなときに検査をおすすめします
- 50歳以上の方の定期的な検査として
- 前立腺がんが心配な方
- 前立腺肥大症の経過観察として
PSAが高い=必ずしもがんではありません
PSA値の上昇には、がん以外にもさまざまな原因があります。
- 前立腺肥大……前立腺が大きいこと自体でPSAが上昇することがあります
- 前立腺炎・感染症……炎症があるとPSAが高くなることがあります
- 一時的な上昇……長時間の自転車、性行為(射精)、前立腺マッサージ、直腸診・前立腺の検査や処置などの刺激で、一時的にPSAが上がることがあります
- がんの場合……PSAが高くなることがあります
PSAの数値が高い=がん、と即断する必要はありません。ただし、上昇の背景を確認するためにも、追加の検査や経過観察が必要になります。数値の意味は医師が丁寧にご説明しますので、結果だけを見て過度にご心配なさらないでください。
当院ではPSA検査を院内で行っており、採血後、その日のうちに約30分程度で結果をご説明しています。50歳以上の方はもちろん、ご家族に前立腺がんの既往がある方や、リスクが気になる方は、より若い年齢からの検査もご検討ください。
4.病院ではどんな検査をするの?
前立腺肥大が疑われる場合、当院では次の流れで検査を行います。いずれも体への負担が少ない検査です。
- 1. 問診・アンケート……排尿の回数、夜間頻尿、残尿感、生活への影響などをお伺いします。問診票にご記入いただき、医師が詳しくお話を伺います
- 2. 尿流測定(ウロフロー)……専用の機器で、排尿の勢いと時間、量を測定します。排尿の状態を客観的に評価できます
- 3. 尿検査……尿の成分を調べ、感染や血尿の有無を確認します
- 4. PSA(血液検査)……前立腺がんの可能性を調べる検査です。採血後、30分程度で結果がわかります
- 5. 超音波検査(エコー)……前立腺の大きさや、膀胱に残っている尿の量(残尿量)を確認します
症状や検査結果を総合して、診断を行います。当院の検査設備については設備紹介ページもご覧ください。
5.前立腺肥大は治療できます
前立腺肥大症は、症状や前立腺の大きさ、全身の状態に合わせて治療法を選択できる病気です。「歳だから仕方ない」と諦める前に、選択肢があることを知っていただきたいと思います。
お薬による治療
多くの場合、まずはお薬による治療から検討します。
- 尿を出しやすくする薬(尿道の緊張をゆるめる薬)
- 症状を改善する薬
- 前立腺を小さくする薬
手術による治療
薬で十分に改善しない場合や、症状が強い場合には、手術を検討します。ガイドラインで代表的とされる術式には、次のようなものがあります。
- TURP(経尿道的前立腺切除術)……内視鏡で前立腺を切除する方法
- HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)……レーザーで前立腺をくり抜く方法
- PVPレーザー(光選択的レーザー前立腺蒸散術)……レーザーで前立腺を蒸散させる方法
症状や前立腺の大きさなどに応じて、適した術式を選択します。
【当院からのお知らせ】
当院の院長は、前立腺肥大症に対するPVPレーザー手術を、長年にわたり数多く手がけてきた経験があります。開業後の手術は行っておりませんが、その経験を活かし、患者さまお一人おひとりに合った治療の道筋をご案内します。手術が必要と判断される場合は、連携医療機関へ責任を持ってご紹介いたします。
6.早期発見が大切な理由
前立腺肥大症そのものは、命に関わる病気ではありません。しかし、同じような排尿症状の背景に前立腺がんが隠れている可能性があるという点は、忘れないでいただきたいところです。
早期に前立腺がんが見つかった場合には、次のようなメリットがあります。
- 治療の選択肢が多い……手術・放射線治療・薬物療法など、多くの選択肢から検討できます
- 根治を目指せることが多い……早期であれば、根治を目指せる可能性が高くなります
- 転移する前に治療できる可能性がある……将来の安心につながります
早期の前立腺がんは、自覚症状がないことも少なくありません。だからこそ、症状がなくても、年齢を重ねたら一度PSA検査を受けておくことに意味があります。
※検査の適切な時期や頻度は、年齢やご病気のリスクによって異なります。詳しくは医師にご相談ください。
7.よくあるご質問
Q. 前立腺肥大症は、放っておくとがんになりますか?
前立腺肥大症とがんは、それぞれ別の病気として起こります。肥大症ががんに変化するわけではありませんが、両方が同時に存在することもあるため、検査による確認が大切です。
Q. PSA検査はどのくらいの頻度で受ければよいですか?
年齢やリスクによって異なりますので、一概には言えません。50歳以上の方は定期的な検査をおすすめしていますが、詳しい間隔は診察時にご相談ください。
Q. 手術はどのタイミングで検討しますか?
お薬による治療で症状が十分に改善しない場合や、症状そのものが強い場合に検討します。すぐに手術ありきで進めることはありません。
Q. 症状が軽ければ、様子を見てもよいですか?
軽度であれば経過観察という選択肢もあります。ただし、自己判断ではなく、一度検査を受けたうえで医師と方針を相談されることをおすすめします。
8.名古屋駅直結の泌尿器科なら「ゲートタワー黒松泌尿器科」へ
排尿の変化を「歳のせい」と受け流してしまう気持ちは、よくわかります。けれど、検査を受けることで、今の状態がはっきりし、必要な対策も見えてきます。
ゲートタワー黒松泌尿器科は、名古屋市中村区・JRゲートタワー26階にある泌尿器科クリニックです。
- 日本泌尿器科学会 専門医・指導医である院長が診療を担当します
- 前立腺肥大症治療のレーザー手術(PVP)を長年手がけてきた経験を活かし、診療にあたります
- PSA検査は院内で実施し、採血後30分程度でその日のうちに結果をご説明します
- 超音波検査など、必要な検査もその日のうちに完結できます
- 名古屋駅直結。WEBから24時間ご予約いただけます
「歳だから仕方ない」で片づけず、まずは今の状態を確認するところから始めてみませんか。
監修:ゲートタワー黒松泌尿器科 院長 黒松 功(日本泌尿器科学会 専門医・指導医)
院長プロフィールはこちら
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や治療方針は個人差がありますので、詳しくは診察時にご相談ください。
※1 木曜:10:00~13:00
※2 土曜:10:00~16:00